「頭痛がひどくて鎮痛薬が手放せない」
「いつ頭痛が起きるか怖くて、予定を立てるのが不安」
「ロキソニンを飲みすぎて腎機能が悪化している」
このような悩みを抱えていませんか?これは私が20年近く悩んできたことです。
そんなある日、ロキソニンが全く効かない、想像を絶するような激しい頭痛に襲われたことがきっかけで神経内科を受診し、片頭痛予防のための注射薬「アジョビ」に出会いました。
片頭痛予防の注射薬との出会いは、私の人生を大きく変えました。20年間も苦しめられてきた片頭痛が嘘のように軽くなり、今では鎮痛薬に頼らず過ごせるようになったのです。
ここでは片頭痛とアジョビの注射体験記について詳しく書いていきます。同じ悩みを持つかたの参考になれば幸いです。
片頭痛歴20年…ロキソニンが手放せない日々
元看護師の私は、夜勤をするようになってから「片頭痛」に悩まされるようになりました。
月の半分以上は頭が痛くなり、2〜3日に1回はロキソニンを服用。当時は「看護師の宿命」だと諦め、ロキソニンを水のように飲んでいました。

日本の成人の約8.4%が片頭痛もちだそう。(1)
私の片頭痛の特徴は、
・右側の頭の上の方がズキンズキンと脈打つような痛み
・酷くなると吐き気をもよおすことも
・光がチラチラ見えるなどの前兆は無い
・本格的な痛みが来る前に、頭が重くなったり、鈍い痛みを感じるなどの予兆あり
今思えば、私の片頭痛は「緊張型頭痛」から始まり、「慢性緊張型頭痛」を経て、「薬物乱用頭痛」へと変化していったのだと思います。
ロキソニンを飲みすぎて、健康診断では腎機能を示す「クレアチニン」が上昇し、「eGFR」は低下。精密検査をすすめられました。

自分の健康は後回し……看護師あるあるですね。
片頭痛が突然悪化!初めての神経内科受診
忘れもしない2024年1月。今まで経験したことのないような激しい頭痛に襲われました。右側の頭の上の方が、まるで鋭利な刃物で何度も刺されるような激痛。あまりの痛みに嘔吐し、全く身動きが取れませんでした。
この悪夢のような頭痛は1月、2月、3月と続き(痛みがあるのはひと月に2日ほど)、さすがに恐怖を感じて内科のクリニックを受診。そこで総合病院の神経内科を紹介され、2024年3月、人生で初めて神経内科の門を叩きました。
穏やかな雰囲気の先生に、これまでの片頭痛の症状やロキソニンの服用状況を詳しく説明しました。すると先生は、「薬物乱用頭痛(MOH)の可能性がありますね」と一言。
鎮痛薬を使いすぎると頭痛が起こる!?薬物乱用頭痛とは
薬物乱用頭痛とは、鎮痛薬の使いすぎによって頭痛が慢性化する状態のこと。まさに私のことでした。先生は、ロキソニンの使用回数を減らすようにアドバイスしてくれましたが、当時の私には「そんなことできるわけがない」としか思えませんでした。
薬物乱用頭痛:Medication Overuse Headache, MOH (2)
鎮痛薬を1ヶ月に10〜15日以上、3ヶ月以上使い続けている人にみられる慢性頭痛のこと。鎮痛薬を中止・減量することで改善すると言われています。
そのメカニズムは、以下の3つの段階に分けられます。
①脳が「痛み」に敏感になる:鎮痛薬の常用により、脳が痛みに慣れてしまい、少しの刺激でも痛みを感じるようになる。
②CGRPなどの神経伝達物質が増加:神経が興奮しやすくなり、痛みのループが起こる。
③薬の効果が持続しなくなる:薬が効きにくくなり、さらに量や頻度が増える悪循環に陥る。
先生からは、片頭痛に効果があるという「ミグシス」という内服薬と、頭痛ダイアリーをつけるように指示されました。
問診ではタバコは吸うか、飲酒はするか、カフェイン摂取量などいろいろ聞かれたものの、生活習慣の改善については何も言われませんでした。
片頭痛予防の注射は毎月1万円以上!高すぎる!
ミグシスを飲み始めて1年ほど経ちましたが、劇的な効果は感じられませんでした。
「少しマシになったかな?」程度。ロキソニンが効かないほどの激しい頭痛発作の頻度は減ったものの、相変わらず数日おきにロキソニンを飲んでいました。
2〜3ヶ月ごとに神経内科を受診し、ミグシスを処方してもらう中で、先生は毎回
「もう少し鎮痛薬の使用回数を減らせるといいですね」
「注射も考えてみませんか」
と提案してくれました。
1本あたり40,000円くらいする超高価な注射薬。自己負担は3割負担の場合、約12,000円。診察料や検査代も加わればもっと高くなる。

注射薬1回につき1万円以上って……毎月サブスクのように支払い続けるのはキツい。お金に余裕があれば、すぐにでもお願いしたいけど。
ミグシスの内服で激しい頭痛の発作頻度が抑えられるなら。
ロキソニンが効くなら。
今のままでいいか……って考えていました。
パート主婦で世帯年収は平均以下の私には、簡単に決心できない値段で。1年ほど、注射を迷う日々が続きました。
片頭痛がまた悪化!注射を決意
そして2025年2月、再びあの悪夢のような頭痛に襲われました。このときは5日間も続く激しい頭痛で、2日間はほぼ寝たきり状態。この経験が、私を注射治療へと突き動かしました。
「いつ頭痛が起こるかわからない不安」「外出中や仕事中に起こったらどうしよう…」という不安から解放されたい一心で、ついに注射薬にステップアップする決意をしたのです。
片頭痛予防の注射は、以下の3種類。(2025年4月現在)
【販売名】 | 【製造販売】 | 【作用】 |
アジョビ | 大塚製薬 | 抗CGRP抗体 |
エムガルティ | 日本イーライリリーと第一三共 | 抗CGRP抗体 |
アイモビーグ | アムジェン | 抗CGRP受容体抗体 |
抗CGRP抗体についてはこちらの記事にまとめました。→【片頭痛】CGRPって何?アジョビとアイモビークの違いは?

3つとも、2021年に発売された比較的新しい薬なんだって。
通院先の病院にはアジョビしかなかったため、アジョビを打つことになりました。
アジョビには1ヶ月に1回打つものと、3ヶ月に1回打つ(1回の注射で3回打つ)ものがあります。病院に行く回数を減らしたかったので、3ヶ月毎の注射を希望しましたが、初回はダメと言われました。
片頭痛予防薬は皮下注射。薬剤の量が結構多いので、注入中はそれなりに痛みはありましたが、我慢できないほどではありませんでした。
注射翌日から効果を実感!
驚くことに、注射の翌日から効果を実感しました。
私は片頭痛の予兆として、頭が重い、だるい、鈍い痛みを感じます。予兆後、数十分くらいで頭痛がひどくなります。
注射翌日も、「あー、頭、痛くなりそうだなぁ…鎮痛薬飲もうかなぁ」と予兆を感じましたが、しばらくすると予兆が消えたのです。その翌日も、その翌々日も。予兆はあるものの、鎮痛薬を飲むほどの痛みには至りませんでした。
片頭痛予防の注射は高いけどやる価値あり!
20年来の片頭痛持ちの私が、薬物乱用頭痛(MOH)と診断され、アジョビの注射によって劇的に改善した体験談をお伝えしました。
片頭痛予防の注射は決して安い治療法ではありません。しかし、片頭痛が改善したことで得られたものは、金額以上の価値がありました。
・生産性が上がった
・予定を立てることに不安がなくなった
・腎臓への負担が減った
・何より、毎日を笑顔で過ごせるようになった
片頭痛に悩んでいる方は頭痛外来や神経内科で相談することをおすすめします。

一人でも多くの方が、頭痛のない生活を手に入れられますように。
参考文献
(1)日本頭痛学会 「片頭痛/片頭痛の治療」
(2)日本頭痛学会 「薬剤の使用過多による頭痛」
コメント